飲食店の顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)を向上させるには?

執筆者:ヴィンセント・グエン

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飲食業界の利益率は極めて低いことで知られています。レストランの運営に携わっている方なら、身をもって実感されているはずです。

店舗のオーナー様やフランジチャイズのマネージャー様にとって、品質の安定とコスト管理のために店舗運営を最適化することは、非常に重要な役割です。そしてそのための意思決定には、明確な判断基準(フレームワーク)が欠かせません。

本記事では、意思決定の軸となる、店舗運営のためのフレームワークをご紹介します。

店舗運営を改善するための3つの鉄則

レストラン運営の効率化を図るうえで最も重要なのは、あらゆる業務を標準化し、不確定要素を排除することです。

レストランの業務効率を改善する11のコツ

1. すべての基幹業務について、詳細な標準作業手順書(SOP)を作成する

SOP(標準作業手順書)は、すべてのサービス業にとって生命線とも言える重要なものです。

個々の業務ごとに必要なSOPだけでなく、「ドキュメント作成のSOP」も欠かせません。これは文字通り、ドキュメントの作成方法を定めたマニュアルのことです。これを用意することで、すべてのドキュメントの記述スタイルが統一され、誰が作成したかに関わらず、同様に分かりやすい資料に仕上げることができます。

まずは、以下の構成要素を含んだSOPのテンプレートを用意することから始めましょう。

  1. タイトル:SOPの名称

  2. 目的:なぜこの手順が必要なのか

  3. 実施タイミング:手順を開始するきっかけ(例:「早番のシフト開始時」など)

  4. 担当者:個人名ではなく、役割や役職を指定

  5. 具体的な手順(番号付きで、何をすべきかを具体的に記載)

  6. チェックリスト:(実際に作業を進めながら確認できるもの)

  7. 写真または動画:(飲食店においては、これが極めて重要です)

飲食店のSOPをまとめる際、事業の立ち上げ初期や小規模な段階であれば、Google ドライブやNotionを活用するだけでも十分に運用できます。しかし、店舗の希望が拡大するにつれて、SOPをより効率的に管理・運用できる専用のシステムの導入が必要になってくるでしょう。

チームマネジメントに関しては、弊社は7shiftsの導入を強くお勧めしています。7shiftsは、飲食業界に特化して設計されたクラウド型の店舗マネジメント・シフト管理プラットフォームです。スタッフのシフト表作成、勤怠管理、給与計算、スタッフ間の連絡といった日常的な労務管理を、1つのアプリで完結させることができます。北米を中心に、個人経営の飲食店から複数の拠点を持つ大手ブランドまで、幅広く導入されています。

2. メニューの最適化

メニューに並ぶすべての料理が、同じように利益や人気をもたらすわけではありません。

業績の良い飲食チェーンでは、スピード、品質の安定性、そして粗利コントロールを徹底的に考慮してメニューを設計しています。

売上データやお客様の声を活用して、メニューの成果を定期的に分析する習慣をつけましょう。ここでのポイントは、人気と粗利の「両方」に目を向けることです。お客様から大人気の商品であっても、実は店舗の利益を圧迫しているケースは少なくありません。

メニューの分析と最適化を行うには、上記の「メニュー・エンジニアリング」マトリクスが役立ちます。このマトリクスでは、すべてのメニューを以下の2つの要素から分類します。

  • 横軸(X軸):収益性(料理1品あたりから得られる利益)

  • 縦軸(Y軸):人気(注文される頻度の高さ)

この分析により、すべてのメニューは次の4つのタイプに分類されます。

  • Star(高利益・高人気):店舗の経営を支える看板メニューです。目立つようにアピールし、迅速かつ安定した品質で提供できるよう準備を整え、品切れを防ぎながらさらに売上数を伸ばしましょう。

  • Plow Horse(低利益・高人気):よく売れるものの、利益の薄い商品です。段階的に少しずつ値上げを検討する、ポーションや原材料費を見直してコストを下げる、あるいは利益率の高いトッピングやサイドメニューとセットで販売するなどの対策が有効です。

  • Puzzle(高利益・低人気):利益率は高いものの、注文数が少ない商品です。メニューでの説明や掲載位置を工夫する、スタッフから積極的におすすめするなどして、注文数を増やすアプローチを試みてください。

  • Dog(低利益・低人気):売れ行きが悪く、利益も出ない商品です。食材の無駄を省き、オペレーションの煩雑さを解消するためにも、メニューから外すか、まったく新しい内容にリニューアルすることをおすすめします。

3. 在庫管理の効率化

食材の廃棄(フードロス)は、御社の収益に直撃する深刻な問題です。ReFedの調査によると、2025年だけでも飲食業界全体で3,500万トンものフードロスが発生しており、その損失額は2,600億ドル(約39兆円)以上にのぼります。

しかし、当然ながら適切なシステムさえ導入すれば、そのほとんどを防ぐことが可能です。

まずは、在庫状況をほぼリアルタイムで把握し、発注を自動化して、賞味期限の迫った食材を事前に検知できる在庫管理システムを導入しましょう。その上で、スタッフ全員が意識を持って取り組める環境を整えることが大切です。

  • 食材の適切な取り扱い、保管、調理技術に関するスタッフ教育を行う

  • お客様の食べ残しを把握し、常に残されがちなメニューを特定する

  • 仕入れ先の品質や信頼性、価格設定を定期的に見直し、コストが見合わない場合は躊躇せず条件交渉を行う

ここでは、テクノロジーの活用が鍵となります。店舗の規模や現在ご利用のシステムに合わせて、最適なソリューションをお選びください。

  • Toast POSをご利用の場合に最適: xtraCHEF by Toastは、Toastシステムとの連携、請求書のスキャン、レシピ原価の自動計算機能を備えています。

  • 個店やモバイル発注を重視する場合に最適: MarketManは月額約199ドルから利用可能で、スマートフォンでの使いやすさと、手軽な仕入れ先への発注機能で高い評価を得ています。

  • バーや大量の在庫を抱える店舗に最適: MarginEdgeは1店舗あたり月額330ドルから利用可能で、高度な請求書処理能力と、詳細なレシピ分析機能に強みを持っています。

4. 顧客体験の向上

現代のお客様は、かつてないほど多くの選択肢を手にしています。検索エンジンやデリバリーアプリ、オンライン注文の普及により、他店へ乗り換えることも容易になりました。だからこそ、実店舗の内外を問わず、お客様にどのような体験を提供できるかがこれまで以上に重要となっています。

スピーディーで信頼性が高く、ブレのない優れたサービスが基本であることは今も変わりません。しかし、競合の一歩先を行く店舗経営者は、すでに保有しているデータを活用して顧客体験をパーソナライズし、さらに踏み込んだアプローチを行っています。

まさにそのために開発されたのが、MomosのRockieです。

Rockieは、顧客満足度(顧客感情)、店舗ごとのパフォーマンス、運営健全性を常に把握したい飲食店経営者に向けて特別に開発されました。

Rockieの主な機能は以下の通りです:

  1. CSAT(顧客満足度)が低下した店舗の特定、その原因、および対策について、あらゆるデータソースから根本原因を自動的に分析します

  2. 各店舗のパフォーマンスをブランド基準や他店舗と比較ベンチマークできるため、本部がどこに注力すべきかが一目でわかります

  3. お客様の評価傾向を可視化し、評判に関わる大きな問題に発展する前に察知できるようにします

  4. 経営状況をまとめたパーソナライズレポートを、毎日または毎週、お客様のスマートフォンへ直接お届けします

  5. 分析から得られたすべてのインサイトを、次に取るべき具体的なアクションへとつなげます

5. テクノロジーの活用

優れた実績を上げる大手飲食グループとそれ以外の店舗との間にある「店舗運営の可視化」の格差は、テクノロジーの活用度合いの差へと急速に変化しています。

複数店舗の状況を俯瞰し、リアルタイムデータを抽出して迅速に対応できる経営者こそが、よりスピーディーかつスマートな意思決定を下しています。

サイロ化された業務(売上、在庫、会計、給与計算など)を一本化し、信頼できる唯一のデータソースを提供する店舗管理ソフトウェアへの投資をご検討ください。飲食業界向けに特化して構築されたプラットフォームであれば、導入時の設定時間を大幅に削減できるだけでなく、テーブルレイアウト管理や予約管理といった便利な機能が標準で搭載されています。

6. 常に一貫した品質と安全性を確保する

初めてご来店されたお客様を常連客にするのは、ブランドの「一貫性」です。特に多店舗運営においては、規模が拡大するほど一貫性の維持は難しくなります。だからこそ、個人の判断に頼るのではなく、仕組み化(システム化)することが極めて重要です。

まずは、貴店の厨房の実態に即した、独自の食品衛生プロトコルを策定することから始めましょう。一般的なチェックリストだけでは不十分です。実際に使用する食材、設備、リスクの高いエリアを徹底的に洗い出し、その現実に合わせたプロトコルを構築します。そして、それを単なる入社時の形ばかりの研修で終わらせず、継続的なトレーニングと組み合わせます。チームが定期的に復習すべき主な内容は以下の通りです。

  • 食品衛生および食材の取り扱い基準

  • サービスのあらゆる段階における品質管理

  • 求められる顧客サービス水準と、それが自社ブランドにどう結びついているか

清潔感や衛生管理は、ブランド基準そのものとして扱う価値があります。お客様は、客席からお手洗い、そしてオープンキッチン内のキッチンの様子に至るまで、細部までしっかりと見ています。法規制の改正に合わせて基準を常に最新の状態に保ち、各習慣がなぜ必要なのか、その理由をチーム全員が理解できるように指導してください。

行動の背景にある「理由」を理解していれば、スタッフはより確実に、責任を持って自発的に行動できるようになります。

7. 財務管理とコスト削減へ投資する

飲食店経営において、利益性の課題は売上の不足ではなく、コスト管理の不備に起因することがほとんどです。

安定したマージンを確保できている経営者は、自社の数値を正確に把握し、常にモニタリングを行っています。

まずは、具体的なビジネス目標に基づいた確かな財務計画を策定し、実績が確定するたびに見直しを行いましょう。原材料費の変動や市場環境の変化により、前四半期の前提条件がそのまま通用するとは限りません。経営者が常に細かくチェックすべき指標は以下の通りです。

  • 食材比率(FL比率)および人件費率

  • 満席稼働時の顧客1人あたりの売上(客単価・席単価)

  • メニューごとの利益率

これらの数値を財務部門だけに留めておくのはもったいないことです。現場のマネージャーが、日々の判断が利益にどう直結するかを理解できれば、その場での意思決定の質が格段に向上します。さらに、サプライチェーンの混乱が生じた際にも、財務状況をリアルタイムに可視化できていれば、即座に対策を講じることが可能になります。数週間後に手遅れになってから問題に気づくといった事態を防ぐことができるのです。

8. マーケティングの強化とコミュニティの活性化

ビジネスの拡大は重要ですが、現在ブランドを愛してくださっている既存のお客様を疎かにしては意味がありません。

優れた飲食店のマーケティング戦略とは、新規顧客の獲得と、常連のお客様への感謝・おもてなしを両立させるものです。

ロイヤルティプログラムや特定のターゲットに向けたプロモーション、トレンドを取り入れた新メニューの開発は、いずれも効果的な手法です。ただし、その運用には注意が必要です。対象を絞らずに大規模な割引を頻繁に行ってしまうと、本来なら通常料金でご来店いただけたはずのお客様にも適用され、あっという間に利益が削られてしまいます。マーケティング戦略を構築する上で、特に意識すべきポイントをご紹介します。

  • お店のコンセプトや価値観を反映した、明確で一貫性のあるブランドアイデンティティを確立すること

  • SNS、WEBサイト、ローカル広告、そして実際の店舗での接客に至るまで、ブレのないメッセージを発信すること

  • キャンペーンの効果測定を行う際は、単なる「集客数」だけでなく、「利益率」への影響も定期的に検証すること

地域社会とのつながり(コミュニティエンゲージメント)は、飲食業界において最も見落とされがちな強力な成長レバーの一つです。地域のイベントへの参加、近隣店舗とのコラボレーション、地域団体への協賛などは、有料広告では決して得られない信頼と知名度をもたらします。また、常連のお客様にとっても、「自分のお気に入りの店」を友人に紹介する際の誇りや喜びにつながります。

9. 業界のトレンドへの適応

飲食業界のトレンドは目まぐるしく変化します。お客様の好みは移り変わり、新たなテクノロジーが登場し、わずか2年前に新鮮だったものが、今では古臭く感じられることも珍しくありません。競合の先を行くためには、1年に一度トレンドを見直すだけでなく、日常的に最新の動向へアンテナを張っておく必要があります。

業界誌に目を通し、機会があれば業界のイベントに足を運び、お客様のフィードバックや注文行動から読み取れるニーズに真摯に耳を傾けましょう。また、導入している店舗管理ソフトウェアから得られるデータも、次の一手を打つための貴重な需要のサインとなります。

新しいトレンドが登場した際に重要なのは、それを見極める「選択眼」です。すべての一時的な流行に合わせてメニューを変える必要はありません。実際に取り入れる前に、それが自店のブランドやお客様に本当にマッチしているかを問い直してみてください。とはいえ、すでに単なるトレンドを超え、飲食店として「対応して当たり前」の標準的な期待値となっている変化もあります。

  • 植物由来(プラントベース)およびベジタリアン向けの選択肢

  • 多様な食事制限への柔軟な対応

  • サステナブル(持続可能)で地産地消を意識した食材の調達

長く愛され続ける店舗とは、単に流行を追いかける店ではありません。自店が愛される原点となった魅力を大切に守りながら、お客様に新たな価値を届けるために、明確な意図を持って革新を続けられるお店なのです。

10. データの一元管理(信頼できる唯一の情報源の確立)

複数店舗を展開する飲食ビジネスにおいて、データの分散は利益を損なう見えざる要因の一つです。在庫管理、売上、シフト・人件費データがそれぞれ異なるシステムやスプレッドシート(しかも金曜日に手入力されアップデートされるようなデジタルとは言えない運用方法)に散在している状態。このような環境でお客様は、「現在の正確な事実」ではなく、「過去の不確かな情報」をもとに意志決定せざるを得ません。

必要なのは、データ量を増やすことではなく、一元化することです。全店舗の情報が一つのシステムに集约・統合されてはじめて、組織全体のメンバーが同じデータを同時に、リアルタイムに共有できるようになります。これにより次のようなメリットが生まれます。

  • 店長、エリアマネージャー、財務担当者で一貫したレポートを共有

  • 全店舗のデータ比較から改善点を迅速に特定

  • 店舗間の実績をシンプルかつ正確にベンチマーク可能

  • 「先週起きたこと」ではなく、「いま現在リアルタイムで起きていること」に基づいた適切な意志決定

店舗展開に成功し事業を拡大させている企業様は、サプライチェーンと同じように、自社のデータ基盤を重要なインフラとして位置付けています。つまり、高い信頼性を備え、一貫性があり、ビジネスの成長に合わせて拡張できることが不可欠だと考えておられます。POS、在庫管理、シフト管理、お客様の声を総合的に連携できるプラットフォームを選び、店舗ビジネスの現状を一目で把握できる環境を整備しましょう。

11. 実験は一元管理し、ロールアウトはグローバルに展開する

複数店舗を運営する最大の強みの一つは、多くの経営者がまだ十分に活かしきれていない「本格導入前にテストができること」にあります。

新しい取り組みを全店舗に一度に導入するのではなく、まずは1〜2店舗でパイロット運用を行い、その結果を測定・分析することで、ブランド全体へ展開する前に確かな裏付けに基づいた意思決定が可能になります。

テストを成功させる鍵は、体系的なアプローチをとることにあります。実践において効果的なアプローチをいくつかご紹介します。

  • 顧客層、売上規模、または市場タイプに基づいて、テスト実施に適した特定の店舗を指定する

  • 検証を開始する「前」に、何をもって成功とするか(評価基準)を明確に定義しておく

  • 一時的な目新しさ(新規効果)による影響を排除し、実際の行動パターンを見極められるよう、十分な検証期間を設ける

  • 検証プロセスと結果をすべて一元的に記録し、実施店舗だけでなく組織全体でその知見を共有できるようにする

テストが成功すれば、自信を持って他店舗に展開できます。万が一、期待とは異なる結果が出た場合でも、大規模な投資を行う前に貴重な気付きを得たことになります。このようにして、優れた複数店舗の経営者は、ブランドを守りつつイノベーションを継続しています。

11. 実験は一元管理し、ロールアウトはグローバルに展開する

複数店舗を運営する最大の強みの一つは、多くの経営者がまだ十分に活かしきれていない「本格導入前にテストができること」にあります。

新しい取り組みを全店舗に一度に導入するのではなく、まずは1〜2店舗でパイロット運用を行い、その結果を測定・分析することで、ブランド全体へ展開する前に確かな裏付けに基づいた意思決定が可能になります。

テストを成功させる鍵は、体系的なアプローチをとることにあります。実践において効果的なアプローチをいくつかご紹介します。

  • 顧客層、売上規模、または市場タイプに基づいて、テスト実施に適した特定の店舗を指定する

  • 検証を開始する「前」に、何をもって成功とするか(評価基準)を明確に定義しておく

  • 一時的な目新しさ(新規効果)による影響を排除し、実際の行動パターンを見極められるよう、十分な検証期間を設ける

  • 検証プロセスと結果をすべて一元的に記録し、実施店舗だけでなく組織全体でその知見を共有できるようにする

テストが成功すれば、自信を持って他店舗に展開できます。万が一、期待とは異なる結果が出た場合でも、大規模な投資を行う前に貴重な気付きを得たことになります。このようにして、優れた複数店舗の経営者は、ブランドを守りつつイノベーションを継続しています。

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